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あなたに(前編)

・・・あぁ もう

・・・これ以上 先へは

・・・進めないなぁ

つらかった

自分で数ヶ月前に作ったはずの資料なのに

何が書いてあるのかが理解できない

さっぱり、わからない

会社の資料に目を通しても

言葉の羅列があるだけ

意味を理解することが、出来なくなっていた。

数ヶ月前から、子供を楽しそうに殴る夢を見たり

歩きながら無意識に涙が流れてきたり

海の底に潜ったような頭痛と圧迫感

感情の鈍化と、何事にも無関心な自分

いつからか読めなくなった新聞や雑誌

著しいまでの集中力の欠如

ついさっきの事すら思い出せない、記憶力の低下

そんなある夏の日、彼は会社を早退した。

彼は本を読むのが好きだった。

途切れがちになる集中力や、読んでもすぐに飛んでしまう記憶力は、

なかなか次の項(ページ)へとは進ませてくれなかったが。

そんな中、好きな著者であった”斉藤 茂太”氏の本を読んでいるうち、

彼は自分がそこに書かれた、ある症状に該当している事に、気付いた。

  うつ病

治る病気。

でも放っておくと、死に至るおそれのある病気。

誰にも・・・まして妻になんか絶対に言えない

二人目の、乳飲み子の育児をしながら、休日も仕事に出かけ

平日も深夜近くにならないと夫の帰ってこない生活に、彼女も

とても疲れていた。 これ以上負担をかけたくなかった。

(自分で治せるのか・・・?)

春頃からだろうか、彼は仕事の負担を極力減らすよう努めた。 

だが、昨年の2倍以上に膨れ上がった業務量に対し、昨年の半分以下に乏しく

なってしまった頭でこなしていくことは、苦痛以外の何者でもなかった。

そして仕事がようやく落ち着きだした頃、緊張の糸が切れたかのように

彼は急速に病み始めた。

会社を早退した彼は

通勤途中のネットカフェに立ち寄り、趣味にしていた『ブログ』を立ち上げると

何度も何度も何度も読み返しながら、自分のための記事を書いた。

*****************************

生き方が下手くそな人 いませんか?

器用に立ち回ることができなくて

自己評価に対する生真面目さが

他人を思いやるその優しさが

自分を苦しめるとわかっているのに

家族や友人らとの軋轢に苦しみ

いつも義務感と責任感に苛まれ

他者からの評価でしか自分の存在を見出せない

たった一言の 「助けて」 が言えない自分

人に頼ることを許せず

自律できる人こそ素晴らしいと固執する

 負けず嫌いの頑張り屋で

いつも時間に追われ くつろぐ時間を惜しみ

少しでも多くの何かを遂げようとする

いつか誰かに言われた言葉

「 あなたは完璧主義者 」

それは褒め言葉ではなく、大切な警告

臆病さを隠すため 隙がないように振舞い

非難される余地を与えないようにしていた

そんな 『 あなた 』 への大切な警告

それが自分の性格だから と

その一言で片付けていれば

いつしか自身の辛辣な評価から

いつしか自身に対する嫌悪から

そっと内側から蝕まれていく

そして 『 その先 』 にあるものは

誰も望まなかった未来

もういいんじゃないか?

 悲鳴を上げる身体の声を聴いてあげても

自分を自分で追い込むことをやめてあげても

たとえ足手纏いになったとしても

誰もあなたを責めたりしない

誰も責めたりしない

生き方が下手くそな人 いませんか?

器用に立ち回ることができなくて

自己評価に対する生真面目さが

他人を思いやるその優しさが

・ ・ ・ ・ ・ ・

そんなあなたと出逢えたことを

わたしは誇りに思います

大丈夫 まだ間に合うよ

******************************

自分への記事を書き終えた彼は、いつものように何を書いたのかすら

忘れてしまった。

それでも、もう一度読み返した。

彼は 最後の行に書いてあった文を読んで 声を押し殺し泣いた

自分に宛てた文章に励まされるほど 情けないものはない・・

>大丈夫 まだ間に合うよ

彼は自分に何度もそう言い聞かせた

                              (後編へ続く)


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